1.材料
材料は「錫」という金属です。
「錫石」(Cassiterite)という鉱石から精錬され、青銅器の材料として古代から使われていたこともあり日本でも盛んに採掘されていました。
しかし人件費の高騰などもあり、現在ではその多くをタイ・インドネシアなどから輸入しています。

2.鋳造
錫を溶かし、液体になった錫(湯と呼びます)を型に流し込んで必要な形に作り変えます。
部品が増えるとその型が必要になりますので、商品ごとに多くの型が保管されています。


3.ロクロ削り
鋳造で作ったもので丸い形のものはろくろを使って形を整えます。
厚い塊から専用の刃物を使って削りだすことにより、精度の高い商品を作り出しています。


4.焼き合わせ
熱したこてで上下に分けて作った部品を、共付け溶接で接合させます。
一塊ではなく上下を分けて作ることで、内側もきれいに仕上げることができるようになります。

5.ロウ付
ロウ材という錫よりも低い温度で溶ける金属を接着剤にして、そそぎ口と持ち手の基部を取り付けます。

6.絵付
塗り残しや薄い部分がないように注意しながら絵の具で模様を描いていきます。
ここで描いた場所が完成したときに光る場所になるので、それを想像しながら慎重に描いていきます。

7.くさらし
酸に浸けることで錫の表面を侵食させて凹凸をつくります。
絵付で描いた場所は侵食されないので一段もり上がり、豊かな風味が生まれます。

8.漆塗り
くさらしでできた凹みに漆を塗りこんでいきます。
塗り残しが無いよう丹念に、塗りむらができないよう慎重に。

9.最終仕上げ
余分な漆をふき取り全体のつやを出した後、持ち手を取り付けます。

10.完成
最後に傷がついていないか、持ち手がぐらついていないか、などを確認して完成となります。
